1幹細胞を投与する

脂肪や骨髄などから得た幹細胞を、治療の目的に応じた方法で身体に投与します。
「自分の細胞を使うこと」と「何を身体に届けるか」。
治療の仕組みから、品質・注意点・解析まで、順に見ていきましょう。

作用を考えるカギは、「何を放出するか」
幹細胞は、組織の維持や修復に関わる細胞です。投与した細胞が新しい臓器や組織に置き換わる働きだけでなく、細胞が放出するさまざまな物質が、周囲の細胞に働きかける仕組みも研究されています。

脂肪や骨髄などから得た幹細胞を、治療の目的に応じた方法で身体に投与します。

エクソソーム・サイトカイン・成長因子など、さまざまな物質を放出します。




免疫細胞、血管や神経の細胞などとの相互作用を通じて、修復や炎症への関わりが研究されています。
炎症への関わり
組織修復への関わり
血管新生への関わり
免疫調節への関わり
細胞の生存への関わり
※ 図は作用機序の概念図です。研究で示される働きが、そのまま個々の治療の効果を保証するものではありません。
親細胞の状態で、放出される物質の中身も変わる
親細胞とは、エクソソームをつくり、放出する元の細胞のことです。
自己由来の幹細胞治療は、ご自身の細胞を使うことが特徴です。一方、細胞が放出するEVの構成や働きは、親細胞の状態や培養条件などによって変わり得ます。由来だけでなく、品質をどう確認しているかも大切です。
細胞が生きて活動し、増える力などの基本的な働きが保たれている状態です。細胞の老化やストレスの程度を、検査や培養時の確認で評価します。



組織修復に関わる情報
炎症・免疫に関わる情報
さまざまな分子の構成
細胞の老化や、炎症・酸化ストレスなどの負担によって、増える力や放出する物質の内容が変化している可能性がある状態です。



構成や作用が変わる可能性
炎症・老化との関連
線維化などとの関連
※ イラストは概念図です。年齢や持病の有無だけで細胞の質や治療の適応を判断することはできません。
採取・培養・投与方法・安全性を合わせて考える
ご自身の脂肪から細胞を採取し、培養して身体へ戻す治療には、準備と品質確認が必要です。治療を検討する際に、確認したいポイントを整理します。


年齢、健康状態、培養条件などにより、細胞の特徴は異なります。採取後の細胞数・生存率・品質をどのように確認するかを聞きましょう。



採取時の痛み・出血・感染などのリスク、培養にかかる期間、投与までの品質管理、継続治療のスケジュールを確認します。


細胞の静脈投与では、肺の微小血管への細胞の滞留や凝固への影響などが論点になります。投与方法・細胞数・速度・患者の状態に応じた評価が必要です。
国内で、脂肪由来幹細胞の投与中に急変し、死亡した事例が報告されています。

自分の細胞を使う場合も、他の由来の製剤を使う場合も、品質・投与方法・治療目的に合った根拠を確認する必要があります。
治療目的に対する臨床的な根拠
品質管理・感染対策
副作用の説明と緊急時の対応
BM-MSC由来EVの「量・中身・バランス」を確認する
BM-MSCは、骨髄由来の間葉系間質細胞を指します。EVは細胞外小胞の総称で、エクソソームはその一種です。由来・粒子数・含まれる分子・解析方法を確認することが、製剤を理解する土台になります。


細胞を使う治療と、細胞が放出した成分を使う治療では、投与するものや確認する項目が異なります。
どの細胞から生まれた製剤か
どのくらい含まれているか
どんな情報が含まれているか
どんな生物学的な働きと関連するか
/vial
2.62 × 1012 particles

Tumor Suppressor miRNA

※ 提供見本の数値です。製剤・ロットによって異なり、粒子数や構成比だけで臨床的な効果・安全性は判断できません。「87%」はがん予防・治療の効果を表す数値ではありません。

細胞修復
炎症
免疫
血管
神経
ホルモン
生殖機能
がん関連
含まれるmiRNAが、どのような働きと関連するかを文献・データベースから調べます。
厚生労働省は、エクソソーム試薬について、治療に用いた場合の品質・有効性・安全性が確認されたものではないと注意喚起しています。実際に使用する製剤の承認状況や品質資料は、診察時に確認してください。厚生労働省・2024年7月31日事務連絡 ↗
miRNAと、身体の働きとの関連を調べる
IPA(Ingenuity Pathway Analysis)は、分子の情報を文献・データベースと照らし合わせ、生物学的な経路や機能との関連を探索する解析ツールです。
製剤に含まれるmiRNAの種類や構成を確認します。

※ 一般的な例示で、該当製剤の分析結果を示すものではありません。
その情報が、どのような働きと関連するかを調べます。
実験で確認された関係や予測された関係を、根拠の種類を区別しながら解析します。
数字だけでなく、関連する生物学的な意味を見ていきます。
細胞修復
炎症
免疫
血管
神経
ホルモン
生殖機能
がん関連
※ 項目への関連が見つかることは、その項目への治療効果を意味しません。
大切なのは、「何を身体に届けるのか」
幹細胞治療とEVを用いる治療には、それぞれ特徴があります。由来だけで優劣を決めず、治療目的、品質、臨床的な根拠、リスクを合わせて確認しましょう。
ご自身の細胞を使う治療
細胞が放出した成分を使う治療

ご自身の脂肪から細胞を採取します。

どの細胞から生まれたEVかを確認します。

必要な細胞数を得るため、培養・品質確認を行います。

製造・品質確認されたEV製剤を使用します。

生きた細胞そのもの。細胞が放出する物質も作用に関わります。

細胞が放出したEVなど。生きた幹細胞そのものではありません。

細胞の状態・培養条件・投与方法などを確認します。

由来・粒子数・miRNA構成・解析方法を確認します。

ご自身の目的や状態に合わせて、医師と選択肢を相談しましょう。
本ページは治療選択を考えるための説明です。図は概念図で、個々の治療の効果・安全性を保証しません。自由診療の費用、リスク、未承認製剤に関する説明は診察時に確認してください。